ANCS Forum 2026に参加しました!
2026年5月10日、滋賀大学教育学部附属小学校で開催された「ANCS FORUM 2026 アートで変える新しい世界とつながるこれからのまなビ」に参加しました。
今回のフォーラムでは、教育におけるアートの役割や、これからの学びのあり方について、さまざまな実践報告やワークショップを通して考える時間となりました。
全体を通して印象に残ったのは、アートが単に作品をつくる活動ではなく、子どもたちが自分の内側から湧き上がる思いや疑問をもとに、世界との関係をつくり直していく学びであるということです。
前半では、ANCSプロジェクトの最新情報として、ANCSの考え方をもとにした実践が紹介されました。
木村先生(滋賀大学教育学部附属小学校 )による、小学校2年生の版画の実践では、子どもたちが自分の知っていることや感じていることを出発点にしながら、新しい表現の可能性を発見していく姿が報告されました。
また、武田先生(岡山大学附属中学校)による、中学校3年生の「ミ成年の主張」では、社会に対する思いや違和感を、言葉だけではなく造形によって表現する実践が紹介されました。瓶の中に色のついた紙を入れ、それを割ることで感情の解放を表すなど、子どもたちが自分なりの方法で問題に向き合い、表現を生み出していく姿が印象的でした。
特に興味深かったのは、松浦先生(岡山大学)による「子どもの絵のホームステイプロジェクト」です。
子どもの作品を家庭や施設に一定期間貸し出し、その場でどのような変化が起こるのかを調査する取り組みです。子どもの絵は、単に「かわいい」「上手」という評価で終わるものではなく、見る人の心の状態を映したり、人と人との会話を生んだりする存在になっていました。
作品が社会の中に置かれることで、子どもの表現が新しい価値をもつことを感じました。
続いて、私たち清田ゼミの有志学生によるアートプロジェクトチームSTartLEによる「STartLE project」について発表を行いました。
STartLEは、日常の中にある「面白さ」と、学校での「学び」をアートによってつなぐことを目指したプロジェクトです。普段は当たり前のように見過ごしているものや出来事も、少し見方を変えたり、身体を使って関わったりすることで、新しい驚きや発見につながります。そのような「はっとする感覚」を、子どもたちの学びの入口にしていくことが、STartLEの大切にしている視点です。
発表では、これまでの活動として、巨大なプチプチを使ったワークショップなどの実践について紹介しました。
また、宣先生(大阪教育大学附属天王寺中学校)からは、ANCSの実践報告として、数学とアートを組み合わせた線織面の取り組みが紹介されました。
教室や中庭などの空間に毛糸を張り、直線の連続が曲線のように見える不思議さを体験する活動です。1次関数や空間図形といった数学的な内容を、黒板やノートの上だけで理解するのではなく、実際の空間の中で身体を動かしながら感じ取ることができる実践でした。
後半の「市井 no 姿勢 ni 学ぶ project」では、教師や大人が日常の中でどのように学び続けるのかが問われました。特別な研修や専門的な場だけでなく、地域の人との会話や、何気ない出来事の中にも学びのきっかけがあるという視点が示されました。
今回のフォーラムを通して、私が強く感じたのは、学びとは「させられるもの」でも「目的に向かって効率よく進めるもの」だけでもないということです。
心の中から自然に湧き上がる「やってみたい」「なんだろう」「おもしろい」という感覚が、子どもたちの表現や探究を動かしていく。そのような「中動態的な学び」を支えるものとして、アートには大きな役割があると感じました。
また、子どもたちに「面白がる力」を育てるためには、まず大人自身が日常の中にある小さな違和感や発見を面白がる姿勢を持つ必要があるのだと思います。
アートは、学校での学びと日常生活、そして自分と社会をつなぎ直す力を持っています。今回のフォーラムは、そのことを具体的な実践を通して実感できる貴重な機会となりました。
いづつ
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