ANCS FORUM2023①

はじめに
兵庫県美術館のレクチャールームにて、ANCS FORUM2023 <おもしろいで遊ぶ図工室・美術室> が開かれました。

これまでに行ってきたANCSの取り組みを報告し、これからについて検討します。

ANCSとは、創造性が社会と出会う美術教育(Art Education Nurturing Creativity through Encounters with Society)の頭文字をとった名称です。
①中邑賢龍先生による記念講演
東京大学より中邑賢龍先生をお招きし、記念講演を行っていただきました。
中邑先生の「LEARN」などの実践を教えていただき、子供たちが不便で理不尽な状況にあえて身をおくことで、自分の力で色々なことができるようになっていく姿を拝見しました。
例えば、行き先を当日伝えられて雪山に行き、薪割りのアルバイトをするというプログラムです。初めは不安そうな暗い表情をしていた子供達が、段々自分で電車に乗ることや、薪を割る役割分担に慣れていき、帰る頃には自信のある表情に変わっていきます。
大人子供関係なく、私たちは便利な状態に慣れてしまって、人間本来の考える力や体を使うことが少なくなってしまっているかもしれないと反省しました。
また、中邑先生は、このような活動を学校教育で行うのは難しいとおっしゃっていました。
確かに、子供達が学校以外の社会へ出ていけることは必要だと思います。
しかし、だからこそ、学校でするべきことや学校だからこそできることを考えたり、子供たちが様々な経験に向かえる環境をつくったりすることが大切なのではないかと感じました。


②大人の造形遊び+アートスタジオ報告
大人が目的なく素材や場所を楽しみ、全力で遊ぶ「大人の造形遊び」と、「つまらないをつくる」「ダダをこねる」などをテーマに活動を追究してみる「アートスタジオ」を動画で報告したあと、7グループに分かれて討論しました。
これまでの動画を見ていると、自分が参加したのを思い出して懐かしく感じると同時に、はじめは自由に遊ぶことに抵抗感がありましたが、今は造形遊びが楽しみになっていることに気づきました。
討論では、学校でも素材に触れる時間を大切にしたいという声や、大人が全ての制約を忘れて遊ぶのは難しいのではないかという意見がありました。
どれだけ自分の外側に出られるか、どれだけ振り切って遊べるかは今後の課題です。

もちさんのグループでは…
討論の中で、大人の造形遊びに参加する前と後での違いについての意見が上がりました。
───チラシを貰ったときは、今回私は何をすればいいの?これをやってどうなるの?と、大人が「遊ぶ」意義についてピンと来てなかったんです。でも、1日身体を動かして、頭を一生懸命使っておもいっきり遊んで、分かりました。自分の頭で考えつく遊びはたかが知れていて、実際に身体を動かすことで沢山の面白い遊びにたどり着いたんです。しかも、「私は今学んでいる!」「さっきより考え方が柔軟になった!」という瞬間を、自分で見つけることができるようになったのです。教師の仕事は、生徒の学びの瞬間を見つけることだと思っています。これからもっと幅広く学びの様子を見とるために、「大人の造形遊び」はとっても大切だと思います。───                                                 もち


▷▷▷ANCS FORUM2023②へ続く

岡山大学 清田哲男研究室

岡山大学で美術教育・創造性教育を研究している清田哲男研究室の学生・院生によるBLOGです。清田哲男教授のご指導の元、学部生7人、修士課程2人、博士課程3人、助教1人の計12人で、岡山大学を拠点に、教育の可能性を広げる研究・実践を行っています。子どもたちの豊かな未来を想い、日々活動しています。

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