和紙の原料の皮剥きを体験させていただきました

2026年3月6日、岡山県美作市の中右手地区の村にて、和紙の原料となる三椏と楮の皮剥き作業に参加させていただきました。

先月の工芸科指導法の講義にて和紙作家の品田美里先生から和紙についての特別講義を受けさせていただいたご縁で、実際に和紙を作る工程の1つである皮剥き作業を体験させていただきました。

品田美里先生の講義に関する記事はこちら→


今回私たちが訪れたのは美作市の中右手という小さな村です。品田先生のご厚意で、最寄りの駅まで車で迎えに来ていただきました。皮剥き作業をさせていただいたのは三椏生産を長年されてきた忍さんという方のお庭。お庭には皮を蒸すための建物があり、皮を剥いで干すための場所もきれいに整えられていました。

品田先生はここで人づてに話を聞き、コミュニティを築き、実際に体験しながら和紙の作り方を学び、研究されているそうです。何事を学ぶにもまずは人や自然との関わりを大切にし、尊敬の気持ちを持ってコミュニティを築いていくことが大切なのでしょう。品田先生は単に「和紙作家」として村に入るのではなく、一人の「見習い村人」として村の人と関わり、村の生活や歴史を大切にしながら学んでいることがこの1日を通して深く感じられました。その上で、村にとっても品田先生にとっても、そして和紙の未来にとってもより良くなるような、新しい価値を提案しようと試行錯誤されている姿が大変素敵でした。

どのようなプロジェクトでも、仕事でも、暮らしでも、人と人の丁寧なつながりなしでは成立せず、さらに言えば、つながりを大切にすることによって見えてくる価値があるのだろうと今回の活動を通して考えさせられました。



さて、今回の活動内容の紹介に移ります。

和紙の原料は楮や三椏、雁皮といった種類の木の皮です。今回皮剥きをさせていただいた木は楮と三椏でした。これらの木を伐採した後、蒸して皮を剥がしやすくします。

↑蒸している様子。この下で大きな窯を焚いているそうです。三椏を蒸したとき独特の、焼き芋を焼いているようなおいしそうなにおいがします。


村に着いたらさっそく蒸し終わった楮の皮を剥いでいきます。忍さんや品田先生からコツを教わりながら挑戦!すると驚くほどするりと剥けました。想定していたより力は要りませんでした。皮を剥くと白い木が残ります。おお!残った木もきれい!

簡単に剥けるし、剥くとこんなにきれいな木肌が出てくるなんて…楽しい!!

ノリノリで作業を進めました。皮を引っ張る向きや木の持ち方は忍さんに教えていただきました。教えていただいた通りにやってみると力が余分にかからず、より簡単に、丁寧に剥くことができました。長年の知恵ですね。


分厚い皮は縦に割いてみると力強い繊維がよくわかります。この繊維が、強くしなやかで繊細な「和紙」をつくり出すのでしょう。


次は三椏の皮を剥いてみます!三椏は木の枝が三つに分かれていることがその名前の由来である通り、枝がたいへん細かく分かれています。そこで、途中まで剥いた状態の木を二人がかりで両側から引っ張り、一気に木と皮に分けます。

↑二人で息を合わせて引っ張ります。

こちらもおもしろいくらいするりと皮と木に分かれます。細かい枝の部分までしっかり皮が剥がれていて感動しました。

中学生が体験に来たこともあるらしく、確かにこの作業は力のそこまで強くない子どもにも体験してもらいやすい上に、身近な紙という素材への理解を深め、木の良さを五感で味わうことができる教材ともなるのではないかと考えさせられました。そして、それを期に和紙という伝統工芸への興味が深まってくれればこれほど嬉しいことはないです。

皮を剥いで残った木はまとめて乾かし、お風呂を沸かしたり木を蒸したりするための薪として再利用するそうです。エコですね。


作業をしていると、品田先生に紹介されたり、話を聞きつけたりした村の方や作家の方などが集まってきました。

最初は数人で始めた作業も、いつの間にか10人以上に。品田さんの積極的に人とつながり、人をつなぐ取り組みの成果と、中右手の村が持つ助け合いの輪を感じられました。集まった方みんなで大量の木の皮を剥いでいきます。皆さん楽しくおしゃべりしながら、「16時までに終わらせるぞ」と、忙しく作業を進めます。

作業終了!剥がした皮を干していくと壮観です。木の皮のカーテンは見た目もかわいらしいだけでなく、あたたかくて木のいい匂いがするので、何度もくぐりたくなります。

作業が終わると、お茶やお菓子、フルーツを持ち寄って少しの談笑をしました。協働作業をした後の、このひとときの喜びは何物にも代えがたいです。疲れをいやしながら、自分の畑で作ったイチゴの味を村の人にみてもらったり、森で採れる植物を使ったレシピ情報を交換したり…こうした人と人との生活の小さな重なりが、生活を少しずつより良いものにし、新しい価値に気づかせてくれるきっかけとなるのでしょう。

私もこういった人と人との関わりを大切にし、自分にとっても誰かにとってもよりよい生き方を目指し続けたいと改めて感じさせられました。


品田美里さん、忍さんをはじめとする村のみなさま、今回はあたたかく迎えてくださりありがとうございました。大変貴重な体験をさせていただきました。


Oki

岡山大学 清田哲男研究室

岡山大学で美術教育・創造性教育を研究している清田哲男研究室の学生・院生によるBLOGです。清田哲男教授のご指導の元、学部生7人、修士課程2人、博士課程3人、助教1人の計12人で、岡山大学を拠点に、教育の可能性を広げる研究・実践を行っています。子どもたちの豊かな未来を想い、日々活動しています。

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