CRE-Lab.FORUM2024未来と創造~諏訪正樹先生特別公演~
「気付ける身体を醸成する態度・マインドが創造の源」
・今まで気づいたことのない側面(変数)に着眼すると,心身が変わる
諏訪先生は,自身の生活のQOLを向上させるためには,メタ認知が肝だとおっしゃいます。例えば,カフェに行ったとき,自然と自分の居心地がよいところを探して座ります。しかし,せっかくいい席に座れても,隣に苦手な人が座ってくるときもありますよね。そんなときに,自分の「体の角度」(変数)を変えると,また居心地がよくなるかもしれません。これは,身体の感覚で思考していると言えます。
では,そんな身体の思考をメタ認知するにはどのようにすればよいのでしょうか。デザイナーは,スケッチ行為を通して発想を得ています。あるデザイナーは,スケッチしながら美術館建築のコンセプトを練っているとき,スケッチから,「公道から美術館周りの道が近い」ということに気付き,公道から建物が見えて入りやすいように設計する案ができました。このようなスケッチでは,備忘録としてではなく,それまで意図していなかった性質・側面を見出すという効用があります。
曖昧なままとりあえず描く→新しい変数への気づき→アイデアの断片に・・・
頭ではなく身体で対象に向かうことで,生活の様々な物事に気付ける心身をつくることができるかもしれません。嫌いなものも,独特な変数になる可能性を秘めています。例えば,インドア派の人が散歩する,苦手なホラー映画を見てみるなど。意識的に自分の暗黙知を探ろうとし,身体を世界へ連れ出すことが重要です。
・状況依存性:身体知の最も重要な性質
身体は環境・状況の中にあり,臨機応変に反応しています。そのため,状況の中に入らないと,何に着眼して反応すべきかは頭で想定することができません。諏訪先生の研究室で,マッチ売りの少女の絵柄に「か」のカルタで,大喜利をし続けたことがあるそうです。はじめは意外性のあることを言おうと頭で考えて,想像のつく答えしか出なかったそうですが,何日も同じお題で考えていると,マッチ売りの少女の身体への没入(五感への意識,イメージ)が起き,思考の枠が外れたような答えが出てきはじめたそうです。
私は,このお話を聞いて,普段スマホやいろんな教えてくれるサービスがあって,ある程度のことはできるようになってしまうことが多いと思いますが,みんなにとっての新しさや面白さをつくるためには,地道に何度も繰り返し行うことや,無駄だとすぐに切ってしまわないことが大切だと思いました。また,ただやるだけではなくて,事実や状況を細かく書き出し,それに対してどう思うのか,体の感覚はどんな感じなのかなど,自分に問い続け,言語化する日々のトレーニングが必要だと学びました。これからの生活でからだメタ認知に挑戦していきたいです。
文:スイミー
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