STartLE SOCIAL SESSION 2025

2025年3月29日、岡山大学五十周年記念館にて、「STartLE SOCIAL SESSION 2025」を開催しました。

こちらは、これまでのSTartLEやANCSの実践を発表し、参加者の皆様や台湾からお招きしたSTEAM、アート教育のエキスパートに価値づけていただき、改めてその意義を問い直したり、「日常にアートが必要な理由」を考えたりする機会です。

  STartLEとは、面白い(intereST)と学び(LEarn)をartでつなぎ、驚き(STartLE)を生む状況作り  を目指して活動する、教育学部清田研究室学生によるアートプロジェクトチームです。


午前中は、小学生・中学生・高校生が参加するアート体験ワークショップを行いました。

異なる方法で、空間を実感できるようにしました。

【おしくら満充】

大きなビニール袋を膨らませ、風船で部屋を充満させるワークショップです。

子どもたちは風船でぎゅうぎゅうになった部屋の中を歩いたり、風船の下にもぐりこんだりしました。

押すと押し返されたり、空気に包みこまれたりする体験を通して、身の回りにはたくさんの空気があったということに気づきます。

【空間を編む】

こちらは、木と地面との間に糸を張ることによって、空間を彩るワークショップです。

線織面といって、直線を規則的に動かすことによって、曲面が生まれる構造を利用しています。

糸を張り、自分たちで新しい空間をつくっていくことにより、何もないと思っていた場所に、「私たちが変えることのできる空間」が広がっていたことに気づきました。


・STartLEギャラリー

これまでの活動をパネルにまとめ、作品などとともに展示しました。

あいさつ木琴を鳴らして、「ありがとう」を声に出している方や、逆アニメーションのバナーの横を走ってみている方など、興味を持って体験してくださる方がいらっしゃって大変嬉しかったです。



午後は、「日常にアートが必要な理由」をテーマにディスカッションを行い、徐先生(写真中央左)、周先生(写真中央右)からご講演いただきました。

○ディスカッション

「アートがなぜ日常に必要なのか」をテーマに、これまでの発表や、参加者の経験をもとにディスカッションを行いました。以下、話し合う中で出た意見をご紹介します。

「アートがなくなってしまったら、どんどん効率化・統一化が重視されて、同じことを繰り返すばかりになっていくのではないか。」

「わからないこと(線織面)をするのは始めは難しいけど、日常で空間の存在を意識するようになって、部屋の家具の配置を変えることができ、少し暮らしやすくなった。」

ディスカッションのあと、徐先生、周先生から貴重なお話をいただきました。

○国立東華大學教授 徐秀菊先生からのお話

徐先生からは、花蓮での「グリーンライフアートコース」というご実践について伺いました。これは、周りの自然と私たち人間、またそこに住む人間同士が、それぞれがなくてはならない人文の関係を結んで生活しているという理念です。まず自然の中に入って、感じて、自然の材料をつかって制作します。特別な活動をしないと、感じたり、創造的な発明をしたりできないわけではなく、日常の小さな感じたことを大切にして、言葉や作品など、とにかく表現してみることが日常のアートだと学ばせていただきました。

○高雄師範大学助理教授 周美花先生からのお話

周先生からは、高雄師範大学の原住民族のクラスのお話を伺いました。このクラスでは、はじめは文化の違いによる喧嘩も多かったそうですが、時間をかけて表現しあうことにより、だんだんと互いを理解し、自分の民族についての認識も深まっていったそうです。日常で引き継いできた文化を残したい感覚でアートをする。そしてそのことによって自分のアイデンティティに取り込んでいく。このような原住民族のアートの感覚を教えていただきました。


文:スイミー


岡山大学 清田哲男研究室

岡山大学で美術教育・創造性教育を研究している清田哲男研究室の学生・院生によるBLOGです。清田哲男教授のご指導の元、学部生7人、修士課程2人、博士課程3人、助教1人の計12人で、岡山大学を拠点に、教育の可能性を広げる研究・実践を行っています。子どもたちの豊かな未来を想い、日々活動しています。

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