STartLEの挑戦:巨大プチプチで地球を包む ー 岡山大学「 Homecoming Day2025」展示にむけての準備

2025年11月1日(土)に開催された岡山大学「Homecoming Day 2025」において、私たちSTartLEは、岡山大学創立五十周年記念館でアート作品の展示とワークショップを実施しました。 

 「ホームカミングデー」という名にふさわしく、岡山大学の歴史と、そこに集う人々の縁、そして思い出を大切にしたいという想いから生まれた、巨大なアートプロジェクトの軌跡をご報告します。



コンセプト誕生の瞬間 

 最初の作戦会議では、「岡山大学を象徴するモチーフ」や「思い出を包み込む表現」について、さまざまな案が飛び交いました。

話し合いが行き詰まっていたとき、あるメンバーが手にしていたのは梱包材の“プチプチ”。 

 「これで岡山大学を包んで守るのはどうだろう?」というひと言から、私たちのアイデアは一気に広がりました。やがて「岡山大学」だけでなく、「異常気象や戦争などで傷つく地球そのものを包み、守る」という大きなテーマへと発展。メンバー全員が共感したこの方向性のもと、私たちは通常サイズのプチプチの約60倍もの大きさを持つ「巨大プチプチ」の制作を決定しました。


巨大プチプチへの道のり :試行錯誤の制作過程

どうやって“巨大なプチプチ”をつくるか。 

最初は90リットルの透明ビニール袋を膨らませ、平らなロールビニールにセロハンテープで貼り付けてみました。

しかし、透明度や強度、空気の保持など、多くの問題が発生しました。 


 試行錯誤の末、形、大きさ、強度、透明度などの条件に合った豊ファインパック株式会社様の「ドラム缶用ポリ袋」を使用することに決定。

次に課題となったのが、正確な円形を形作るための固定具、「紙管」です。特注サイズの紙管は入手が難しかったものの、米谷紙管製造株式会社様のご厚意により、直径60センチ、高さ25センチの特注サイズに現地でカットしていただき、無事調達することができました。 


 空気を“封じる”という挑戦 

制作は、まずマスキングテープで正確に位置を印し、高さ25センチにカットしたビニール袋を引き伸ばしながら紙管に被せ(とても力のいる作業です)、アイロンで平らなロールビニールに圧着していく地道な手仕事でした。 1枚のシートに10個のプチプチを圧着したものを10組制作し、すべてをつなぎ合わせて合計100個の巨大プチプチが並ぶシートが完成します。

しかし、ここからが最大の難関でした。 

 完成したはずのプチプチが翌朝には萎んでいる――目に見えない空気漏れとの戦いです。

メンバーはコンプレッサーで空気を送り込み、音と手の感触を頼りに漏れている箇所を探し、アイロンで再圧着する作業を何度も繰り返しました。目に見えない空気を封じるという行為には想像以上の繊細さと根気強さが求められ、私たちはその工程を通して素材と向き合う難しさを学びました。


圧巻の展示空間へ 

 試行錯誤の末に完成した巨大プチプチシートは、岡山大学創立五十周年記念館の一階に広げられました。約60倍にスケールアップされたその透明で大きな存在感は、記念館の広々とした空間で圧巻の光景を創り出しました。

ホームカミングデイでは、岡山大学卒業生の皆さま、学園祭に訪れたお客様、そして子どもたちがこの作品とどのように関わり、どんな感想を抱いてくださるのか。私たちは子どものようにわくわくし、胸を躍らせて、その日を迎えました。


おわりに 

 STartLEの“巨大プチプチプロジェクト”は、「守りたい」という想いを形にするアートです。

素材の探求から制作まで、数え切れないほどの試行錯誤がありましたが、そのすべてが「人と人のつながり」と「ものづくりの喜び」を改めて感じさせてくれる経験となりました。 

支えてくださった企業の皆さま、大学関係者の方々、そして作品に触れてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。



編:井筒

岡山大学 清田哲男研究室

岡山大学で美術教育・創造性教育を研究している清田哲男研究室の学生・院生によるBLOGです。清田哲男教授のご指導の元、学部生7人、修士課程2人、博士課程3人、助教1人の計12人で、岡山大学を拠点に、教育の可能性を広げる研究・実践を行っています。子どもたちの豊かな未来を想い、日々活動しています。

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