ANCS FORUM 大阪

2026年2月21日、大阪教育大学附属天王寺中学校にて、ANCS FORUMが開催され、全国から様々な校種の先生方や学生、企業の方が集まりました。


「ANCSの考え方」を授業で実践するということ

―研修会の報告と感想―

ANCSの「子どもが夢をかなえる構造図」の考え方を授業で実践した事例報告をもとにした研修会に参加しました。さまざまな先生方の実践報告を通して、「学びが生まれる瞬間とはどのようなものか」を改めて考える機会となりました。

研修の中で語られていたのは、教師が教えたい内容が、子どもにとっての「何か」になったときに初めて、知識や技能を獲得するチャンスが生まれるということでした。

つまり、授業は教師の知っていることの切り売りではなく、「○○してみたい」「これは何だろう」「どうなっているんだろう」といった子どもの関心や願いと、教師が学ばせたい内容が結びついたときに、学びは子どもから動き出すのだという考え方です。


子どもの願いをかなえるために知識・技能をつかう

宣先生の実践では、子どもたちのカメレオン型の紙を色や模様をそっくりに塗って学校のどこかに擬態させます。この「かくしてみたい」という願いから活動が始まっていました。

「どうやって隠すか」を考える過程で、混色や絵の具の塗り方といった知識・技能が必要になってきます。つまり、技術を教えること自体が目的なのではなく、子どもの願いを実現する過程で自然とそれを子どもたち自身が獲得しようとしているのです。


身の回りのものを「形容詞」として捉える

武田先生の実践「見っ形容詞」は、身の回りのモノを「形容詞」として捉え直すという試みです。

モノの特徴や質感を言葉として捉えることで、生徒は自分の身体感覚や記憶を見つめ直すきっかけになっていました。


「伝わる」ということ

妹尾先生の発表では、器楽堂さんの言葉が紹介されました。

「火がろうそく同士でぽっと移るような感覚が『伝わる』ということ」

話を真剣に聞く生徒たちの表情がとても印象的でした。

また、「わからないほうがいい」という言葉も印象に残りました。すぐに答えを出すのではなく、「こういうことかな?」と考え続けることが大切だと学びました。


地域とつながる題材

木村先生の実践では、地域の企業が扱っている素材「板紙」を授業題材として取り上げていました。

地域の素材を使うことで、子どもたちと学校、そして地域の人たちがつながるきっかけが生まれます。

子どもたちの「人が入れる何かをつくりたい」「自立させた作品にしたい」という願いから、最終的に人が入って完成する作品「ギョーザ」が生まれていて、面白かったです。


学校の木との関係が変わる瞬間

正木先生の実践「キカザル(木飾る・着飾る)」では、木に赤色と青色のビニール袋のバルーンをくくりつける「タメ子の心臓」という作品が紹介されました。赤と青のカラーリングは理科の知識を想起させるものでした。

また、子どもが「これくらいの木の方が(飾り付けに耐えられそうで)いい」と話していた場面では、素材との関係を測りながら考えている様子が見て取れます。

木を擬人化するような捉え方も見られ、学校の木々との関係が変化していく様子がとても興味深いものでした。


岡山大学アートプロジェクトSTartLEの発表

私たち学生もSTartLEとして発表させていただきました。

STartLE(スタートル)は、岡山大学教育学部美術教育専攻の有志学生から成るアートプロジェクトチームです。

私たちはANCSのような、誰かの願いや夢を授業ではないアート活動で叶えることを通して、学校での学びと日常を結び付けることに挑戦しています。

10m×10mの紙をつくって巨大な折り鶴を折るプロジェクトや、1個の球が約60cmもの大きさのプチプチをつくって、人間が包まれてみるプロジェクトなど、これまでの活動を報告しました。

ディスカッションでの言葉

ディスカッションでは、アートの日常のなかでの意義や、見取った子どもたちの学びなどについて話し合いました。

ある先生は、「あなたの言葉や表現にはこんな価値があるよ、ということを環境を通して伝え続けている」と話されていました。子どもたちの発見や引っかかりを流さず、「なにこれ?教えて!」と思えるように日々努力しているそうです。

しかし同時に、「それでも子どもたちの思いを受け取りきれていないと感じる」とも話されていました。

それに対して清田先生は、こう答えました。

「受け取りきれなくて当然だと思います。そう思えることが大事です。わからないからこそ、変わり続けようとする力が必要なのです。」


「わからないこと」を自ら増やそうとすることは、ときにしんどさや不安を伴うものだと思います。

しかし、それは同時に、自分自身や子どもたちの自由や未来をつくる力にもつながっているのだと感じました。

今回の研修を通して、そのことを改めて実感することができました。

明日からの授業も、子どもたちの「何だろう?」という気持ちを大切にしながら取り組んでいきたいと思います。


文章だけでは伝わりきらないことがたくさんあると思います。

次回のANCS FORUMは5月10日、滋賀県で行われるそうです。またお知らせします。

ぜひ皆さま奮ってご参加ください!


ANCSサイトはこちらからご覧になれます。

https://ancs-site.studio.site/


STartLEのサイトはこちらからご覧になれます。

https://www.okadaiart.com/

岡山大学 清田哲男研究室

岡山大学で美術教育・創造性教育を研究している清田哲男研究室の学生・院生によるBLOGです。清田哲男教授のご指導の元、学部生7人、修士課程2人、博士課程3人、助教1人の計12人で、岡山大学を拠点に、教育の可能性を広げる研究・実践を行っています。子どもたちの豊かな未来を想い、日々活動しています。

0コメント

  • 1000 / 1000