ANCS FORUM 2023③
最後のシンポジウムでは、
①ANCSの活動にどのような価値を感じ取ったか
②未来の教育活動
の2つの視点からお話しいただきました。
お話しくださった先生は、
京都芸術大学の鷹木朗先生
和歌山信愛大学の大橋功先生
愛知県立大学の藤原智也先生
岡山大学の清田哲男先生です。
コーディネーターとして松浦藍先生が入られました。
私がメモしたことを記させていただきますね。
①ANCSの活動の価値についてですが、
・受験の学力に学校の学びが傾倒している中、学びの扇で子どもたちの学びを「遊び」と「指示」の間の広がりをみつけようとするANCSの取り組みで、学校の中でそのカウンターパートを実現できる具体的なビジョンをみれた。
・学校の美術の在り方を探り、それを先生方が共有できる道筋を作ってくれた。
・当たり前が当たり前でなくなる日常の裂け目が見える瞬間が大切で、大人の造形遊びはそれが見える感じがあった。
という価値をお話しいただきました。
そして疑問点として
・Aの外の「価値」を見つける前に「謎」があるんじゃないか。
・大人は子どものようにはできず遊んでいる自分を演じてしまう。
という点がでてきました。
これに関しては、ANCSの子どもが夢をかなえる模式図では、Aの枠組みの外にある物は「価値」ではなく「なにか」と記されています。それは本当に何かわからないものでわからないからこそ追求するものだそうです。
そして遊んでいる自分を演じていることに関しては、自分を保つ術として必要なことだし、演じている自分に気づいたり、何が足りないのかと思えたりすることが大事だと清田先生はお答えしていました。
人、一人ひとりの幸せが違うように、自分の枠組みを変えるものは何かわからないのですね。子どもたちがこれから出会う題材や支持体がその「なにか」になってほしいという考え方で学校の中での学びを考えたいと思いました。
もう一つ、コーディネーターの松浦先生からそのAの枠を変えていくためにはどのような経験をしていったらよいかという質問がされました。
鷹木先生は、社会制度を利用して創造力を発揮せざるを得ない状況に自分を追い込むことを、京都芸術大学でされた実践を例に教えてくださいました。ゆうパックに入るカプセルをデザインして見知らぬ誰かに届くプレゼントを作る課題だそうです。そうすると、知らない人にどう思われるか、緊張する思いが自然に生まれるそうです。
・人類が進化する過程で「共感」は重要な役割を果たしてきました。共感を媒介として非日常を抜け出すことが重要ではないか。
・先生であることを忘れること
他の先生方はこのようなことを言われていました。
また清田先生はAの枠自体をまず自覚することが大事で、それを見るには勇気がいるし、見ようとしなくても突然見えてしまうこともある。と言われていました。
これまで自分がやったことがないことをするためにはまず自分を知ることが必要ですね。
そして最後に②未来の教育活動についてですが、
藤原先生はアイスナーを引用し、共感にはゆっくり知覚することが重要で、隣の席の子の作品をゆっくり追体験するなど、そこに美術が担う役割があると思う。だから美術を共感と技術発達の両面で考えていくことが必要だ。とおっしゃっていました。
大橋先生は、ある子どもが小さく穴をあけただけの作品をその子が亡くなったあと保護者の方が大事に持ち変える姿を述べ、子どもがそこに存在して生きていた証として一人ひとりの子どもを大事にする思いをもってカリキュラムを考えてほしいことを伝えてくださいました。
鷹木先生はやはり、Aの外にどうやって出るかが重要とし、学校でできないことというのはたくさんあるとご指摘されました。文化的な学校の中の学びと、遊びや自然発生的な外の学びのグラデーションを美術で学べるだろうとも言われました。
鷹木先生のご指摘通り、学校で時間や場所や様々な制約でできないことはたくさんあると思います。美術教育に携わるものとして自分で自分のAの枠を変えていけるような美術の時間を誰もが通う学校という場で実現したい。それを多くの人に理解し納得してもらうためにANCSの先生方が検討を重ね実践を行ってきたことがよくわかった一日でした。
私も日々近くで勉強させていただいております。いつもありがとうございます!
がんばるぞ!!
これでANCSFORUM2023は終了しましたが、今後もどこかで開催予定です。
ぜひご参加ください!
ウラ
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